製紙会社が再生紙に含まれる古紙の割合を偽っていた問題で、環境省は、製紙会社側が新たに環境保護活動などに協力することを条件に、緊急避難的に基準に満たない製品の官公庁への納入を認める方針を固めた。
製紙会社やコピー機器会社が一斉に偽装品の販売中止に踏みきり、グリーン購入法で環境に配慮した商品を購入しなければならない官公庁が紙不足に陥る恐れが出ているためだ。29日に開かれる専門家による検討会で具体策を議論する。
同法は国や独立行政法人に古紙配合率100%のコピー用紙など一定の基準を満たした商品の購入を義務づけているが、官公庁向けコピー用紙を生産していた大手製紙会社5社のうち、基準を満たしていたのは1社だけだった。配合率が偽装された再生紙の販売中止で、官公庁の調達担当者からは「コピー用紙がなくなる」との悲鳴が出ていた。
しかし、配合率の基準をなし崩し的に緩めれば、同法がさらに骨抜きにされる。このため、同省では、古紙配合率を偽装した製紙会社側に、「環境への償い」として、環境保護や古紙回収活動への資金面の協力など環境への貢献を約束させることが必要と判断した。
読売新聞 より
再生紙偽装 省庁も困惑 調達基準満たせず 返品は環境負荷に
再生紙の古紙配合率偽装問題で、中央省庁や地方自治体が対応に追われている。日本製紙連合会の会員企業のうち再生紙を製造する会社の七割までが、古紙の配合率を偽装。一方で、再生紙など環境に配慮した製品の購入を推進するための「グリーン購入法」に基づく基準で、一定の古紙が配合された用紙を購入しなければならないためだ。業者側の出荷停止の影響もあり、一部省庁は、再生紙の新規調達がストップ。今後の調達のめども立っておらず、法と現実のはざまで困惑が広がっている。
「一体どうしたらいいのかという問い合わせがひっきりなしです」
グリーン購入法を所管する環境省には、偽装問題が発覚した後、各省庁や自治体からの電話が相次ぎ、担当者は終日対応に追われている。
同法は紙類のほか、文具、家電、自動車などの環境に配慮した商品について調達基準を示しており、国には義務、地方自治体には努力目標として購入を定めている。
紙類ではコピー用紙は100%、印刷用紙は70%の古紙配合率を定めているが、コピー用紙の場合、製紙大手で偽装がなかったのは王子製紙(東京)だけ。他社から購入していた省庁は、すべて基準に反することになってしまった。
偽装のあった大王製紙(東京)製のコピー用紙を購入していた厚生労働省は、同社が出荷を停止したため、今月十八日の入荷分を最後に払底。急きょ本年度前半に契約していた紀州製紙(東京)製の在庫を押さえた。これも偽装紙なので、あくまでも暫定的な対応だ。
文部科学省も、購入先のコピー機メーカーが再生紙の販売を中止したため将来の在庫に不安が。「環境省に相談しているが明快な回答がない」(会計課)と困惑する。
当の環境省も、偽装のあった用紙の在庫を抱えているが、「返品すれば環境負荷がかえってかかってしまうので、このまま使い続けるしかない」(担当者)状態だ。
鴨下一郎環境相は、問題の徹底究明の意向を表明。同省は二十九日に検討会を開き、再生商品のチェック方法や罰則の在り方などを協議する。
東京新聞 より