『化学肥料は人工のものだからとにかくだめ・・・有機肥料ならいくらやっても大丈夫』 と思われている方は多いと思います。しかし現実はどうでしょうか。
有機肥料の代表格に 「鶏ふん」 がありますね。じつはハウス栽培で使いすぎると当然ガス害をおこすし、苗の栽培などでも発芽障害を引き起こします。信じられない方は東京港にかかるレインボー・ブリッジ第6台場に行かれてください。カワウの大群がいるはずです。浜離宮庭園の木々を枯らした張本人です。この現象は知多半島や琵琶湖の竹生島でもおきているとか・・・。カワウのフンで葉が枯れ、木々が枯死していくのです。抗生物質を含まないはずの貴重な有機肥料であるカワウのフンでさえ、障害をひきおこしてしまうのが現実なのです。家畜ふん尿の施用法と量をまちがえれば障害がでてしまいます。
有機栽培の基本、有機肥料の基本は稲・麦ワラ・野草などの植物質の原料を、発酵させて作った完熟たい肥です。日本の広葉樹林の地面にひろがる腐葉土なのです。決して家畜ふん尿が原料の 「きゅう肥」 や、各種薬品がふくまれた食べ残し食品から作られたリサイクル肥料ではないはずです。
【有機栽培には障害が出ない?】
ある地方紙にのった「豚ふん」の障害例です。
川で約1.5キロにわたり大量の魚が死んでいるのが見つかり保健所や農林振興局・市などは現地調査を行った。調査の結果川沿いの同所にある養豚業者所有の素掘り池から家畜ふん尿が流れ出ていることがわかった。
同保健所などは死因の解明を急ぐと共に業者に事情を聴き因果関係を調べている。通報をうけた所轄署も内水面漁業調整規則違反の疑いで調べている。中略。かわには30センチ以上のコイやナマズ・ウナギをはじめ、手のひら大のアユなどがうかんだ。
【有機質肥料は安全でガス害も出ない?】
有機栽培において絶対に良いものとして使用されている家畜ふん関係の有機物ですが、限界を超えて毎年・毎作多量に施用し続けると障害がめだってきます。とくにハウス栽培では降雨による養分の流亡が少ないため障害のでる確率が高くなります。
有機質肥料は安全だとおもって生のまま多量に施した場合のガス障害の例です。
またハウスの換気の少なくなる12月ころに土の表面に追肥する場合も ガス害が発生することもあります。家畜ふん尿主体のたい肥・魚かす・ダイズ粕・ナタネ粕などすべての有機質肥料は、土壌中の微生物によって分解されますが、一部はガスとなって 空気中に揮散しているのです。
化学肥料であろうと有機質肥料であろうと、微生物のちからで分解されないと、植物は 養分として吸収することは出来ません。
さらに、生の家畜ふん尿やきゅう肥を まきつづけた畑の草を食べた牛が突然けいれんを起こし死亡する。ポックリ病・起立不能症として恐れられている硝酸中毒です。呼吸のもととなる血中マグネシウムの低下が原因です。化学肥料を一切使用せず、家畜ふんたい肥だけで飼料を栽培した場合のほうが確実に発生する確率は高くなります。。
これが生産現場でおこっている現実なのです。
もちろん人でもおこります。『ブルー・ベイビー』。硝酸のたまった作物で作られたベビーフードを食べることにより、発生する硝酸中毒症状です。硝酸中毒によって、赤ちゃんの血中の赤血球と亜硝酸が結合し、体内の酸素が不足するためにおこる危険な症状です。
連続して生の家畜ふん尿を田畑に散布しつづけるといずれ地下水に流れ込み、飲料水からの硝酸中毒がおこりえる可能性も否定できません。
【脱窒素細菌】
脱窒素菌は硝酸イオンを亜硝酸イオンを介して窒素ガス(N2)に還元してしまいます。
通性嫌気細菌である脱窒素菌は、酸素があれば好気的な呼吸をしますが、酸素が存在しない場合でも化合物中にある結合酸素を利用して呼吸します。 (嫌気的呼吸)
このような脱窒素菌のように、酸素があるところでも無いところでも生きていける細菌を通性嫌気性細菌と言うのに対して、酸素がある場所では生きていけない細菌を絶対嫌気性細菌と言います。
脱窒素菌は嫌気的な環境におかれた場合、硝酸イオンの結合酸素をその呼吸基質として利用するようになります。
このタイプの脱窒素菌が今回の主役であるアクアリウムにおける脱窒素菌です。(以下脱窒素菌と称します。)
この硝酸イオンは呼吸のための基質であって、これをエネルギー源や栄養源として利用しているわけではありません。
産業レベルでの脱窒素処理が行われる場合には、その基質としてメタノールという物質を供給する、という方法が取られているとのことですが、メタノールはメチルアルコールのことで人体にとっても有害ですし、危険な物質であります。
この物質をアクアリウムにおいての脱窒素菌の基質として選択するのはちょっと無理があるようです。
もともと、脱窒素菌も有機物栄養性だそうですから、食べ残しの餌や生体からの排出物が溶け込んだ状態であれば繁殖できるはずなんだそうです。
自然界においては、脱窒素菌にも色々あって、亜硝酸イオンまでにしか還元しないものや、または逆にアンモニアを生成しようとするものや、好気的な環境での脱窒素菌もあるようです。
脱窒素菌はどれが代表的なものなのか良く分かっていないようですが、シュードモナス属やニトロバクター属にも硝酸イオンの存在する環境では脱窒素菌として生育するものがあるとのことです。
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